HRグループ
PX Program Manager
坂本 成正Narumasa Sakamoto
私のキャリアにおいて欠くことのできないものがあるとすれば、「コンタクトセンター」の立ち上げや運用経験だと思います。20代で通信系の営業経験を積む中で、初めて任された大きな仕事が電話を通して契約を獲得する部署の仕組み作りと運営でした。たとえ「数百円」の割引にしかならないサービスでも、その数百円を節約するためにどのような努力をしているか、ということをパートの主婦の方々から教えられ、相手にとっての価値に想いをはせて提案することを学びました。
そうした経験を積む中で、私は「電話」というツールをつかったコミュニケーションと、そこに働く仲間との組織作りに魅力を感じるようになっていきました。その後、大手CATV系通信会社に転職。そこではいわゆるコールセンターでの応対を一から習得。リーダー、スーパーバイザー、マネージャー職と、段階を経て現場組織のマネジメントを担いました。現場での最高の体験は、リテンションチームの立ち上げでした。私たちのリテンションチームのミッションは「解約防止」ではなく「円満解約」につなげること。ここに拘りました。「では、円満解約になるためにはどうすべきか」を当時のチーム全員で考えました。お客さまの解約に至る本当の理由を聞き出せるようにしよう。そのために「気持ちよく解約手続きをさせていただく」ことを伝え、その上で「この度解約されようと思った理由について、今後の参考にために率直に教えていただけないか」という順番で聞くことにしました。すると安心して本当の理由を話してもらえるようになりました。また、本当の理由を聞き出す過程で誤解が解け、結果的に解約慰留率が30%前後に向上することにもつながったのです。
その後、本社のカスタマーセンターを統括する組織に異動をすることになりました。ちょうどその頃です。「将来、カスタマーセンターのオペレーターはAIに代替されるのではないか」といった記事を目にしました。私は衝撃を受けたのと同時に、カスタマーセンターでともに働くメンバーやスタッフたちの顔が脳裏に浮かびました。数千名を超える雇用が失われるようなことは、絶対に避けなければならない。カスタマーセンターを今まで以上に付加価値の高い存在へと昇華させ、お客さまにとって無くてはならないものにするしかない。お客さまの「体験価値」、カスタマーエクスペリエンス(CX)について真剣に考え始めたのはそんなことがきっかけでした。
人間の意思決定は「感情」に大きく影響を受ける。それを前提にした上でお客さまと向き合っていくことが、私のキャリアにおける大きなテーマとなりました。お客さまとの絆を強めることのできる応対品質に昇華させるためには、退職率を下げ中長期的に育成できる体制を作らなければならない、教える側(トレーナー)、指示する側(マネージャー、SV、リーダーなど)が理解し実践する必要があり、また、それらの変化を受け入れることのできるマインドを醸成する必要があると、採用・人材育成の方向にシフトしていくことになりました。
2018年、CXに対する考え方がとても近く、魅力的に感じたWEB系サービス会社よりオファーをいただき、新たな職場(前職)へと移ることになりました。なんと初出社の翌日がIPOの当日となり、訳もわからぬまま盛大なお祭り騒ぎの中に身をおきました(笑)。そこではCXの向上を目指す組織における人事のあり方について考えさせられるとともに、強いカルチャーを持つベンチャー企業が社会の公器へ変革していくときの難しさも様々な経験を通して学びました。一方で、グローバルを視野にいれた体制づくりの一環で、「感情」にフォーカスしていくCXのあり方から、「メカニズム」によって提供できるCXのあり方へと大きく舵を切っていくことになりました。その渦中に身をおくなかで、その意義は理解できる一方で、やはり「人」「体験価値」にフォーカスしたいという思いが、より強くなっていきました。
そういった様々な紆余曲折を経て出会った1社がココナラでした。C to Cのビジネスモデル、ユーザー視点に立って考える風土、そして何より掲げるビジョンの素晴らしさ。ここでなら自分が追い求めてきた「体験価値」を実現できるかもしれない。会長をはじめとした経営陣との面談を通じて確信を得た私は、2020年の初頭にココナラへの入社を決めました。
今でも印象に残っているのは、会長の南との会話の中で出てきた「バリュードリブンな会社とビジョンドリブンな会社とは全く違う。いや正反対と言っていいほどの違いがある」という話です。バリュードリブンな人が集まっても、向かう先に同じビジョンを描いていない場合は、それぞれ自分の価値観でものを言って収拾がつかず、本来向かうべき方向に対して時間を要することがあります。それに対してビジョンに共感して集まった集団は、主語が「自分」ではなく「ビジョン」やそれを実現するための「ミッション」となります。そのビジョン、ミッションに共感し、実現したいという願いを持って入社する場合、それに向けて必要な役割があれば、それは自然と「やりたい仕事をしている」ということになります。向かう方向が一緒で、働く上での心がけが共通している人たちと仕事ができたら、どんなに充実した時間となることでしょう。
現在の私は理想とするCXをココナラで実現していくために、「HR」という側面から事業の推進に携わっています。具体的な仕事としては人事制度設計や運営、バリューを体現するカルチャーの醸成といった人事企画を主務としつつ、必要に応じて採用・労務・総務といった幅広い職務に携わっています。社員や求職者とそのご家族、加えて、業務パートナーの方々やココナラを支えて下さっている周囲の皆さんの体験価値(PX)を向上させていくことが、現状における私のミッションだと思っています。中途入社の面接においても、応募者がどんな人生のストーリーを描いていきたいのかをお聞きし、その実現のために私たちができることを率直にお話しするようにしています。向かう先であるビジョンやミッションについて、ついつい時間をかけて面談をしてしまいますが、お互いにとって幸福な転職になるように、自分ができることであれば何でもしていきたいと考えています。
私自身、前回、そして今回の転職は、かなり自己分析にこだわりました。幼少期まで遡り、自分の価値観がどのように形成され、現在に至っているのか。20代から顧客応対の世界に入り、「人の役に立つこと」の喜びを知ったこと。その中で「感情」にフォーカスして体験価値を高めていくことに関わることで「自分らしさ」を増して貢献することができたこと。そして、自分の目指したいあり方につながるのであれば、仕事内容や役割を変えることをいとわないタイプであったこと・・・。そんな私にとって、“ 一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中をつくる” というココナラのビジョンは、まさにこれからの人生において描いていきたい世界観でした。
ココナラという会社はスキルマーケットというサービスを通じて、「自分ならではの価値」を見つけ、「自分ならではのストーリー」を生きていく人を応援していく会社です。これはユーザーに対して語られることが多いのですが、社員や転職者に対しても全く同じことだと考えています。実際、様々な業界経験や職務経験を持つ社員が集まり、お互いを尊重し合いながらそれぞれの価値を発揮しています。
経験をストレートに活かす人もいれば、あえて経験のない仕事をすることで新しい自分の価値を見つけた人もいます。これまでの自分の知識・スキル・経験を最大限に活かして貢献するとともに、役割を広げていくことで、「自分はこんなこともできるんだ」、「こんな経験が喜んでもらえるなんて」といった、良い意味での驚きを感じてもらえる職場だと思っています。
入社前の面接で私たちが知りたいこと。それは「あなたが今後どんなことを目指していきたいのか」ということです。経験やスキルはもちろん大切ですが、仕事をしていく目的やどんな人生のストーリーを描いていきたいのかが最も重要だと考えています。私たちのビジョンやミッションに共感いただけて、他者の喜びを自分の喜びと感じることができる方であればきっと新しいキャリアが拓けると思います。すべての転職者にとって、自分の価値を見いだせる場所。ココナラはそんな舞台であり続けたいと思っています。
坂本 成正 プロフィール
20代で電話回線サービスの個人・法人営業やアウトバウンドセールス立ち上げ責任者を経験。その後、大手CATV系通信会社であるジュピターテレコムへ転職し、カスタマーサービスの現場経験から、統括組織におけるマネジメント、人事系のプロジェクトマネージャーを歴任。2018年6月からフリマアプリを提供するメルカリにてシニアマネージャーとしてカスタマーサービス部門のHR全般に携わる。2020年1月よりココナラへ。現在は人事制度設計、バリュー関連のプロジェクト、採用・労務・総務までHR業務全般を手掛ける。